キミ色季節。【完】
*夏
6月の体育祭の種目決め。
「じゃあー…次、1000㍍やりたい人!」
あたしは心に決めたことがある。
「…いないかぁ」
「熊倉さんってシャトルランすごくなかったっけ?」
…来た。
「杏香、何回だっけ?」
彩が、小声で肘を突いてくる。
「…101回」
「わーぉ…すごいねぇ…」
すごくても何でも
「熊倉さーん、どこ…あ、いた!1000㍍…」
「違う種目がいいです!」
「え、でも…」
去年の体育祭、
1000㍍に出て
一斉スタートで
誰かの足によってこけた。
それも、
結構深い傷で、
1年たった今もわき腹に
まだはっきりと跡が
残っている。
もう、怪我はしたくないよーっ
痛かったもん!
「…え」
みんなの視線を感じる。
1000㍍は1番
嫌な種目だから
みんなやりたくないのは
わかるけど…
「?」
拓海が口パクでなんか言ってる。
『や・れ・よ』
あいつ~っ
人の気も知らないでっ!