誠を通して見たもの…


縁側に出ると、流れる雲の隙間から綺麗な満月が顔を出していた。


満月を肴に、炊事場から勝手に拝借してきた酒をちびちびと呑む。


ふと口から離したお猪口に残る酒を見れば綺麗な満月がゆらゆらと写し出される。


粋なもんだ



「……ぅっ」



残りの酒を一気に飲み干すと、あの喉が焼けるような激しく噎せるような嫌な感覚が襲ってくる。


それになんとか耐え目を閉じれば、アイツの…、吉田のつい目を逸らしてしまいそうになるほどの真っ直ぐと凛とした瞳が思い出される。



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