誠を通して見たもの…
おっ!美味いなこれ!と、言いながら摘まんだとき指についた醤油を舌を使って綺麗に舐め取っている原田さんをただ黙って見ている私ではなかった。



「何、摘まみ食いしてるんですか原田さん?

その摘まみ食いした小鉢、原田さんのお膳にそのまま乗せておきますね」



「そのままって、減った分は足してくんねのか?」



「勿論です」



きっぱりと言い切った私の言葉に、げぇ、と言いながら調理場を去って行こうとした原田さんだったが、源さんの次の言葉でその足を止めた。



「広間までお膳運ぶの手伝ったら、特別に左之のお浸し増やしてやるぞ」



「ホントか源さん!!」



その途端、原田さんの目は輝き、ちゃっちゃかとお膳を幾つも重ねると広間まで持って行った。



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