だって雛祭りだったから



「いーやーっ、飾っておいてくださいよ、たかが1日でしょお!」


「そうですね1日ですね、しかし主には1日がどれだけ重大か」


「朝にゆっくり紅茶飲んでる暇があったら書類処理に回せるでしょう!」


「そういう問題じゃないんだが」



段々と論議自体が馬鹿馬鹿しくなり、ジンは走らせていたペンを放り投げた。


「お茶になさいますか」


「そうだな」



背筋を伸ばす。


騎士団隊長の肩書きを賜りながらもその仕草や行動にはあどけなさが残る。


実際、副官のアルファよりジンは年下である。




機関ではジンは上司であり、レインもまた逆らえる存在ではない。


しかしアルファには弟妹みたいな存在だった。



甘いと非難されるだろう。


命のやり取り必須の騎士団において友情や愛情の類はご法度であるのだ。




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