だって雛祭りだったから
いつだって背伸びして、大人ぶって知ったかぶりして猫を被る二人であるから、なにかイベントの日には楽しませてやりたいのだ。
息の抜き方を知らない二人は誰かが穴を開けないと破裂する。
「レインレイン、お茶ならこれ淹れてくださいっ!」
アルファは袋に入った何かしらの茶葉を出した。
急須をともにしているあたり、日本茶の一種であろう。
「玉露って言ってね、甘い煎茶なんだよ。」
「はあ…如何なさいますか」
レインの視線がジンの方向に向かう。
「うん、それで」
「はい」
レインはアルファから茶葉と急須を受け取って足早に扉を潜った。
「あっ、茶菓子はちゃんと用意してあるからねー」
閉まった扉の向こうから短く返事が聞こえた。
アルファは何処から持ってきたか可愛らしい柄の箱を取り出して開けてみる。