だって雛祭りだったから



「じゃじゃーんっ、桜餅!」


「…なんだそのピンク色のは。
しかも葉っぱが巻かれてるぞ、食い物なのか?」



「そうですよ!
この葉っぱは桜の葉っぱで、塩漬けされてるからこのまま食べるんです」


「ほおー」



しげしげと箱の中を見つめる。


その好奇心むき出しの目はまさにあどけなく、可愛らしいあまりについぞ笑ってしまう。



「………ふ」


「なに、笑ってんだ」


「いやあ…」




口元をおさえ、吊り上がった筋肉を隠した。



「確か、マカロンをお土産に持ってきた時もそんな反応でした」


「…いつの話?」


「さあー、君がまだ僕より年下だった頃かな」


「………」




その比喩がわからなかったわけではない。



アルファの言うことが鬱陶しいと思いながらも、悪い気がしない自分になんだか腹が立つ。



「ふん」



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