君の声
泣き叫ぶサチを僕はとっさに抱きしめた。
「……タカは私を捨てないで…」
「あたりまえだろ!僕は絶対サチを離したりしない。逃げたくなっても逃がさないからな」
「タカ…」
僕のところにサチを連れて帰った。
形はどうあれ、またサチと2人で暮らせる…。
―「コケコッコー、コケッ」
「なっ…何!?」
「…ああ、近所のにわとり。毎朝同じ時間に鳴くからいい目覚まし代わりだよ…ふわぁ~」
「へぇ…、おもしろいね!コケッだって、あはははは…」
サチは笑ってた。
昔のように朝食を作ってくれた。
サチと離れてる間、僕は朝はまともに食っていなかった。
「うめぇ…、ずっと恋しかったよ、サチのみそ汁が」
「そうなの?これからは飽きるくらい作っちゃうよ」
「飽きないよ」
「タカ、職安行くの?」
「うん、そろそろ決めないとな」
「私も行こっかな」
「…学校は?卒業までもうすぐだろ?」
「うん。もう単位は早くに取らされたから大丈夫。でもお父さんの会社に入れと言われて就職活動は何もしてないんだ」