君の声
家族
「なんかやりたいことあるの?」
「……なんだろう?わかんない…。タカは何するの?」
「僕もわからないけど、持ってる資格が活かせたらな」
そんなわけで、僕らは一緒に職安へ行った。
サチは職安自体初めてだったそうだ。
「なんかみつかった?」
「ううん…。何でもずっと椎葉の両親が決めてたことしかしてなかったから…、自分が何になりたいのかわからない…」
「無理することないよ」
「うん。…でもひとつはもう決まってるんだ」
「え、何?」
「ひみつー!」
「ぬぉ~、僕を見縊るなよ、サチが考えてることは何でもわかるんだからな!」
「ほー、じゃあ当ててみてよ」
サチの気持ちは何でも……
「…………」
「…………」
「…ふぅーん」
「何よ?わかったふりして本当はわかってないんでしょー!」
「わかってるよ!」
「じゃあ何よ?」
「結婚しよっか」
「…何、突然……もう!」
「サチがなりないのは僕の奥さん。当たりだろ!」
「ち…、違うもんっ!」
「違うのか。なんだー。…あ、ちょうちょ。もうすぐ春だなぁ」