君の声

「…なんでタカはそんなに私の気持ちが読めちゃうのー?」

「なんでだろうな。ははは」





僕たちは2人だけで婚約をした。
ささやかなケーキとささやかなお酒と、道で拾った草花をささやかに飾って…
2人でささやかなパーティーを開いた。



「ごめんな、五百円の指輪で…。もっと立派になったらいいの買ってやるからな」

「十分だよ。これかわいいじゃん、気に入ったよ!どんなダイヤもかなわないよ」



サチは心の底から喜んでくれた。
僕も嬉しかった。
待ち望んでいたこの瞬間…
けれど僕らには、まだ越えないといけない問題もある…。







―タカは仕事が決まって、昼間私はひとりになった。

…なんだか寂しかったから、さくら園に行ってみた。

相変わらず人手が足りないみたいで、園長先生は忙しそうにしていた。


「こんにちはー」

「まぁ、サチさん!」

「あ、サチちゃんだ!」

「わー、サチちゃーん!」



子供たちが一斉に寄ってきた。







「そう!婚約したの!よかった…、あの後どうなったか心配してたのよ」

「ごめんなさい…」

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