君の声
「ううん、いいのよ!…サチさん、卒業したらここに就職したらどう?サチさんがいてくれるとすごく助かるのよ。子供たちもなついているし」
「…いいんですか?」
「もちろん!あ…でも赤ちゃんができるかもしれないわね」
「そ、そんなのまだずっと先のことですよ!」
「え、サチちゃん赤ちゃんができたの?」
「違うってば!…もう!」
園長先生がへんなこと言うから子供たちに散々冷やかされた。
…別にヤじゃなかったけど。
「サチちゃん、また来てね」
「泊まってけばいいのにぃ、前みたいにさ、夜中にこっそりゲームして…」
「しーっ!バラしちゃだめじゃん!…ごめんなさい」
「まぁ、そんなことしてたの?もう時効ね。先生になったらそんなことしたらだめよ」
「はーい…。じゃ、今日はどうもありがとうございました」
「気をつけて帰ってね。隆義くんにもよろしく」
「はーい」
すっかり時間を忘れ、もう陽は沈んで薄暗くなっていた。
タカはもう帰ってるかな?
電話してみよう。
「あ、タカ、私。もうすぐ帰るから心配しないで…」
「どこ見て歩いてんだババァ!」