君の声

「洋子、私にもさせてくれ」

「いや」

「なんだよ…。仕方ないから草野くんでいい。さぁ」

「えっ!?お、お父さん……」



…なんだ、この画は。



「さ、もう帰りなさい。キリがないわ」

「またいつでも帰って来ていいんだぞ」

「あら、だめよー。そんなしょっちゅう帰ってくるようじゃ。ねぇ草野さん」

「ええ、帰しません」

「まぁ。あはははは…」







―4月、晴れて僕らは結婚した。



そして半年が過ぎて、僕たちは初めて喧嘩をした。



「だから偶然だって言ってるだろ!」

「うそ!タカ本当は私よりお母さんのことが好きなんじゃないの!?」

「は!?そんなわけないだろうが!」

「だってそんな偶然多過ぎるし…、私より先にお母さんと会ってたじゃない!」

「確かに偶然は多いよ、お義母さんともそんな話をしたよ。それもサチと縁があったからってことじゃないのか?大体ちょっとお茶したくらいでぎゃあぎゃあ言うなよ!」

「2人でお茶してさ、私の悪口でも言って盛り上がってたんでしょ!」

「なんでそんなこと言うんだよ!そんな風に僕やお義母さんのこと見てるのか!?」

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