君の声
「…話があるって言ったじゃん」
「これでも急いで帰ったんだよ」
「……ごめん。なんかイライラしちゃって…」
「いいよ。…で、話って?」
「…ここで?」
サチは僕に耳打ちをした。
周りの雑音に紛れて、ハッキリとサチの声を聞いた。
「……本当に?」
「…うん」
「だめだ!」
「えっ!?」
「こんなに冷えたら体に悪いよ、早く帰ろう!」
「なん…、びっくりしたー、生んじゃだめって言うのかと思った」
「そんなわけないだろう!やったぁ!」
赤ちゃんが…
僕とサチの赤ちゃんができた…
やったぁー!!!
サチは満面の笑みで僕を見ていた。
「…何?」
「今私が思ってること読める?」
「えー?……プリンが食べたい」
「どうしてわかったのぉ!?」
「言っただろ。僕はサチの気持ちはなんでもわかるって」
「どうして!?」
―おしまい―