君の声
―ぷるるる…
「ん…、誰だ?朝っぱらから……はい、もしもし」
『警察ですが、今どこに居られます?草野さんのご自宅に行ったんですが…』
「あー、ホテルです…。帰ると思い出しちゃうんで…」
『そうですか。実は彼女のことなんですけどね、行方不明者リストの21歳の女性にそっくりなんです』
「…え?」
『ご家族の方が確認したいと…』
突然何を…
サチがサチじゃなくなる…かもしれない…。
「違います。それきっとサチじゃありません」
『や、でも一応確認してみないと』
「いや、違いますよ…」
いくら違うと言っても、僕の言うことなんか聞いてくれるわけない…。
21歳女性の家族が、ここまで来る、という…。
「サチ…、どうする?もしそうだとして、家族に会いたい…?」
サチは首を振った。
「…逃げるか?」
“うん…!”
―コンコン
逃げる間もなく来てしまった…。
サチは僕の後ろに隠れた。
「こちらが椎葉あおいさんという21歳女性のご家族です」
「あおい、あおいなの!?」