君の声

「顔を見せなさい!」



サチは顔を見せようとはしなかった。



「あおいなんだな。帰るぞ!」



父親がサチの腕を掴もうとした。
僕はそれを遮った。


「何なんだ君は?」

「ひ、人違いですよ!娘さんじゃないです…」

「だったら確認するから顔を見せなさい!」



とても恐そうな父親だ…。
サチは僕の背中に顔を隠し、震えていた。



「見せないということはあおいなんだろう。早く帰るぞ、仕事の合間に来てやってるんだ」


父親はサチの腕を掴んでサチを引っ張り出した。
今度は遮る間もなかった…。


「やっぱりあおいじゃないか!さぁ早く帰るぞ!」

「待って下さい!」

「だから何なんだ君は!?まさか君があおいを誘拐したんじゃないだろうな?」

「違います!誘拐なんかじゃ…」

「君はあおいとどういう関係なんだ?なんで一緒にいるんだ?」

「…僕はサチの恋人です!」

「サチ?この子はあおいだ!話にならん、早く帰るぞ!」

「待って下さいっ…!」

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