君の声
サチは激しく抵抗していたが力に及ばず…
僕はサチをつかまえようと手をのばすも、警察の人におさえられ、動けなかった…。
サチは連れて行かれた…
「やっぱり彼女だったんですね。いや、よかった!」
「何がよかったんですか!?サチは嫌がってたじゃないですか!きっと何かあったから家を飛び出してきたんです。なのに、何も聞かずにあんな無理やりに…」
「そう言われても、自分の家に、家族のところ帰るのが自然じゃないですか。捜索願も出てたんですよ」
僕たちの関係が不自然だと言うのか…
もう反論する力もなかった…。
もう、なんだか…
力が抜け切っていた…。
僕はひとりで、とぼとぼうちに帰った。
部屋はあの日のまま…
悲惨な光景だった。
「う…、うわあぁぁぁぁ…!!!」
泣いても…
叫んでも…
喚いても…
ここで事件は起こった。
サチは連れて行かれた…。
僕は全てを失った。
仕事、親友、恋人…
サチ…、君の本当の名前はあおいっていうんだね。
ずっと僕がついてるって言ったのに…
弱い僕は君を守り切れなかった…。