君の声
壁
サチと離れてから3ヶ月経っていた。
僕はまるで抜け殻のように、ぼーっと過ごしていた。
髪もひげものび、…この服はいつ着替えたのかも思い出せない…。
これではサチが帰ってきた時に幻滅されてしまう。
そう思って、とりあえず身なりを整え、ハローワークに行くことにした。
また、サチに会えることを信じたい…
「タカ」
誰かが後ろから僕の名前を呼んだ。
振り向くと…ノブがいた。
僕は無視して、移動した。
「待てよ、タカ!」
…なんで追いかけてくるんだ?
よくも僕に声をかけられるな。
「待てよ!」
「…………」
「待てってば!おまえに会わす顔なんかないのはわかってるよ、でも話したいことがあるんだ。なぁ、待てってば!」
「…何だよ!?」
あまりのしつこさに仕方なく応えた。
僕たちは外のベンチに座った。
「…仕事みつかった?」
「…まだ。今日久しぶりに来たんだ。…おまえはなんでこんなとこにいるの?」
「俺もクビになったんだ。もとはといえば俺が悪いんだしな…」
「…………」
「おまえさぁ、すげぇ痛かったぞ、あの時」