君の声

サチと離れてから3ヶ月経っていた。

僕はまるで抜け殻のように、ぼーっと過ごしていた。

髪もひげものび、…この服はいつ着替えたのかも思い出せない…。

これではサチが帰ってきた時に幻滅されてしまう。
そう思って、とりあえず身なりを整え、ハローワークに行くことにした。


また、サチに会えることを信じたい…





「タカ」


誰かが後ろから僕の名前を呼んだ。

振り向くと…ノブがいた。


僕は無視して、移動した。


「待てよ、タカ!」


…なんで追いかけてくるんだ?
よくも僕に声をかけられるな。


「待てよ!」

「…………」

「待てってば!おまえに会わす顔なんかないのはわかってるよ、でも話したいことがあるんだ。なぁ、待てってば!」

「…何だよ!?」

あまりのしつこさに仕方なく応えた。

僕たちは外のベンチに座った。



「…仕事みつかった?」

「…まだ。今日久しぶりに来たんだ。…おまえはなんでこんなとこにいるの?」

「俺もクビになったんだ。もとはといえば俺が悪いんだしな…」

「…………」

「おまえさぁ、すげぇ痛かったぞ、あの時」

< 26 / 112 >

この作品をシェア

pagetop