君の声
サチは声に出して話せないけれど、僕にはサチが何を言いたいのか、わかる。
だから半年一緒に暮らして不自由を感じたことは、ない。
…サチに何があったのかはわからないけれど、僕はサチを連れて帰ったことを後悔はしていない。
サチが笑ってくれると、僕は嬉しい。
サチは…居てくれるだけで、いい。
「何、おまえ彼女できたの!?」
「うん」
「マジで!?会わせろよー。今夜3人で飲もうぜ!」
「や…、それはどう…かな…」
「なんだよ、もったいつけんなよー、俺たち親友だろ?」
「…じゃあ、うちに来いよ。うちで飲もう」
僕の友達とはいえ、いきなり知らない男に会わすのはどうかと思ったけど…
うちに呼んでしまった。
「ちょっとここで待ってて。呼ぶからさ」
「なんで?おまえんちが散らかってんのは知ってるぜ」
「彼女…ものすごく繊細な子だから、驚かないように言ってくるんだ。ごめん」
「…そうなのか?」
サチに、友達がうちに来ることを説明した。