君の声
「何を言ってるんだ?あおいは設備の整った病院で安定した生活を送ってるんだ。君はあおいを狂わすだけだ!」
「そうよ!あの子昔はとてもいい子だったのよ!」
「今も彼女はいい子です!」
「とにかく帰れ!あおいには絶対に会わせん!仕事の邪魔だ、出て行け!」
―バタバタバタ…
お手伝いさんが真っ青になって走って来た。
「なんだ、騒々しい!」
「大変です!今病院から連絡があって…ハァ、ハァ…」
「…何だ!?」
「お嬢様が…、病院を抜け出したって……」
「なんですって!?…あなた!」
「…もう知らん!あのバカ娘…!」
―ダッ
「おっ、おい!」
僕はすぐにわかった。
サチは僕に会いに来てくれるために堅いガードを破り抜けたんだと…。
サチ、待ってろ。
また僕がみつけてあげるから…
「……やっぱりここだ」
あの小さな路のゴミ箱の横…
サチは疲れ果てた様子で眠っていた。
僕も隣りに座った。
走って来た僕の大きな息遣いに、サチは目を覚ました。