君の声
「おいしいね!」
「うん、うまい」
いつの間にかサチは普通に声を出せるようになっていた。
僕たちは傍から見ても普通に会話をしていた。
でも初めて、な感じはしなかった。
僕たちは前から会話はしてたから…。
ただ、またこうして2人で向かい合えたことが嬉しくて――
食事を終え、2人でうちに帰った。
「…大丈夫?あの日のトラウマとか…」
「…大丈夫。タカがいてくれるもん。…むしろここに帰ってきたかった」
「そっか…。おかえり、サチ」
「ただいま…」
この3ヶ月、サチはどんな思いで過ごしたのだろう…。
「病院…抜け出して騒ぎになってると思うけど、ここにいること知らせとく?」
「いや!また連れ戻されちゃう…」
サチは怯えていた。
「私…、虐待されてたの…」
「え…」
私はいつも良い子でいなきゃいけなかった。
で、大人たちの期待に応えられるように頑張っていた。
でも頑張っても失敗することだってある…。
小さな頃から私には専属の、6人のお叱り組というのがいて、そんな時は親の代わりにその人たちからお叱りを受けていた。