君の声
それがだんだんエスカレートしていって、いつからか虐待のようになっていた…。
体の見えないところはアザだらけだった。
怖いから、失敗しないように頑張らなきゃって…
でも思えば思うほどうまくいかなくって、そのうちお叱りを受けない日はなくなっていた。
「ご両親は気付いてくれなかったの?」
サチは首を振った。
「毎日が地獄のようで…声まで出なくなって、このまま家いたら私どうなるかわからないって…怖くて逃げ出したの。でも行くとこなんかなくって…街を彷徨っていた。タカがみつけてくれなかったら私どうなっていたか…」
僕と会う前のことをサチは震えながら一生懸命話してくれた。
「なんか…ほっとけないって直感的に思ったんだ。僕も昔いろいろ苦しかったせいか…」
「…何?」
「僕は施設で育ったんだ。捨てられてたんだって。だから親なんて知らない」
いじめられっこだったし…、自分は居たらいけない人間なんじゃないかって思い続けてた。
でもしつこくつきまとってくるヤツがいて、僕なんかでも居てもいいのかなって、思えるようになったんだ。