君の声
静かになった。
諦めて帰ったのだろうか…?
ここにいると捕まってしまう。
…別に悪いことはしてない…と思うけど、僕たちはここを離れることにした。
だけど現在無職だし、金がないからどこか遠くへ行くことは出来ない…。
頼れるところも…
「…そうだ」
考えた末、僕が育った施設にしばらく匿ってもらうことにした。
知らない土地で、知らない人たちの中で、サチにはまだ苦痛かもしれないけど…
サチもその方がいいと、言ってくれた。
「バイトして、金が貯まるまでお願いします!」
「あら、いつまでだっていいのよ!…ってわけにもいかないか。はっはっはっ」
施設の園長先生は、体の大きな、あっけらかんとしたとても朗らかな人だ。
サチは少し圧倒されているようだった。
「タカ、私もなんかバイト…」
「そうだ!サチさんに子守を頼もうかしら。今人手が足りなくて…ね、サチさんお願い!」
「は…はい…」
サチは笑っていたけど…