君の声
「はい……」
「大丈夫よ、怪しい人が来たら追っ払っちゃうから!」
「ありがとうございます…」
「えんちょーせんせー、だれか来たよー」
まさか、もう!?
私は思わずタンスの影に身を潜めた。
「どおしたのぉ?」
「え…、へへへ…」
子供が不思議そうに私を見ていた。
追っ手が来たんじゃないかって、私は怖くて…
ヘンに思われたって…
「…あれ、サチさんは?」
「あそこー」
「まぁ、サチさん!大丈夫よ、セールスだったわ」
「そ、そうですか…、すみません…」
―ほっ。
まさかここまで追って来るわけないか…?
「ただいま」
「おかえりなさい、何か見つかった?」
「はい、昼間は工事現場、夜はコンビニで採用いただきました」
「あら夜も?体は大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。早くサチを幸せにしたいんで…。サチは大丈夫でした?」
「ええ。はじめはビクビクしてたけど、子供たちともすっかり打ち解けたわよ」
「よかった…」
「…ねぇ隆義くん、聞いていいかしら?」