君の声
ノブは酔いつぶれた僕を自分んちに運んでくれたんだった。
そこから先は覚えてないけど…。
「じゃ、帰るわ…。今度は僕がおごるよ」
「もう忘れろよ」
「え?」
「逃げた女のことなんか、もう忘れろ。女は他にもいっぱいいるだろう」
「サチは…ひとりしかいない。僕はサチでなきゃ…、サチを愛してるんだ」
忘れられるわけない。
きっと何か理由があってサチは居なくなってしまったんだ…。
あの夜、電話で話してたという相手は誰だったのだろう…?
―ぷるるる…
「はい」
『ポチ公園に7時。待ってるからな!』
「え!?ちょっと、ノブ!」
『ツー、ツー、ツー…』
「…?なんだよ、やぶからぼうに…」
何のことかさっぱりわからなかった。
仕事が終わったのは7時半だった。
ノブが待ってると思って大急ぎでポチ公園に向かった。
一体何なんだ…?
公園に着いて、見回してもノブの姿はなかった。
…待ちくたびれて帰ってしまったのか?
「…草野隆義さんですか?」
「はい…?」
突然、公園にいた女性に声をかけられた。