君の声
「よかった!もう来てくれないかと思った…」
「…へ!?」
「何食べます?おなかすいたー…」
ノブの企みだった。
僕にサチのことを忘れさせるために……。
「おい!どういうことだよ!?」
『なかなかかわいい娘だろ!』
「そうじゃなくて、なんでこんなことするんだよ!?」
『おまえがいつまでもウジウジしてるからだろ。クリスマスも近いし、前の恋を忘れるのは新しい恋が1番いい!』
「サチとは終わったわけじゃない!…おまえ、そういうおせっかいなところ昔からひとつも変わってないな!」
『そりゃ悪ぅござんした。じゃあもう勝手にウジウジしてろよ。じゃあな!』
「…………」
本当におせっかいなんだから…。
だけど僕が、自分は居てもいい、と思わせてくれたのはノブだった。
ノブは、学校で孤立していた僕にただひとり、話しかけてくれるやつだった。
―ぷるるる…
「はい」
『もしもし隆義さんですか?杏香です!』
「え、どうして僕の番号…!?」
『作田さんに教えてもらいました!あの、今夜また食事に行きませんか?』