君の声
「…………」
こうして、ノブのせいで杏香という女性から頻繁に誘われるようになった…。
当然、クリスマスも…
「ごめん。今日はどうしても外せない用があって…」
『それは私より大事なことですか?』
「…ごめん、どうしても…」
『私…、隆義さんが好きです!』
「…………」
『…好きです』
「…ごめん、もう行かなきゃ」
僕が思わせぶりに食事に行ったりしたからいけないんだ…。
この時もハッキリと断れていなかった。
僕はさくら園に向かった。
サチとの約束を果たすために…
「あ、サンタさんが来た!」
「サンタがいるわけないじゃん!」
「ほら、サンタさんが走ってくる!」
「ええ~?」
早くも子供たちは騒いでいた。
―パン、パーン
「よいこのみんな、メリークリスマス!!」
「なんだー、隆義にいちゃんじゃん」
「ほらな、サンタなんていないんだよ!」
「ちぇっ…」
「ちぇっ…って、おまえらなぁ」
意外に冷めた反応で、ハイテンションで登場した自分が恥ずかしくなった…。
「ねぇ、プレゼントは?」