君の声

「…………」



こうして、ノブのせいで杏香という女性から頻繁に誘われるようになった…。


当然、クリスマスも…



「ごめん。今日はどうしても外せない用があって…」

『それは私より大事なことですか?』

「…ごめん、どうしても…」

『私…、隆義さんが好きです!』

「…………」

『…好きです』

「…ごめん、もう行かなきゃ」



僕が思わせぶりに食事に行ったりしたからいけないんだ…。

この時もハッキリと断れていなかった。





僕はさくら園に向かった。

サチとの約束を果たすために…





「あ、サンタさんが来た!」

「サンタがいるわけないじゃん!」

「ほら、サンタさんが走ってくる!」

「ええ~?」



早くも子供たちは騒いでいた。




―パン、パーン


「よいこのみんな、メリークリスマス!!」

「なんだー、隆義にいちゃんじゃん」

「ほらな、サンタなんていないんだよ!」

「ちぇっ…」

「ちぇっ…って、おまえらなぁ」


意外に冷めた反応で、ハイテンションで登場した自分が恥ずかしくなった…。


「ねぇ、プレゼントは?」

< 49 / 112 >

この作品をシェア

pagetop