君の声
白いコート
―タカ…
サンタさん、なかなか似合ってたよ。
「サチー!サチ…」
もうその辺りにサチの姿は見当たらなかった。
僕は肩を落として家に帰った。
そして、暗く冷たい部屋で一人泣いた。
―ぷるるる…
「はい…」
『やっとつながった。電源切るなよな!』
「っ…、何か用だったの…?」
『…おまえ、泣いてるのか?』
「泣いてないよ…」
『ならいいけど…。こっちは大変だったんだからな!』
「…何が」
『杏香ちゃんだよ!俺んとこ来てずっと泣いてたんだぞ。どんなクリスマスだよ?タカに告ったけど逃げられたって言ってたぞ。おまえひどいな』
「逃げてなんか…。今日は用があって急いでたんだよ!」
『どんな用だよ?女の子から誘ってくれてるんだぞ、もったいない!』
「園のクリスマスパーティーにサンタやるって約束してたんだよ!」
『そう…だったのか。それじゃ仕方ないな』
「うやむやにしたのは悪かったよ…」
『タカ…、まだサチちゃんのこと忘れられないの?』