君の声
「忘れられるわけないじゃないか!」
『カッカするなって』
「…ごめん」
『…杏香ちゃんも本気みたいだぞ。どうすんだよ?』
「断るよ。僕はサチ以外考えられない」
『杏香ちゃんかわいそ』
「おまえが仕組んだんじゃないか。余計なことしやがって」
気が付くと、夜中までノブと話していた。
わかってる…。
ノブが僕のことを心配してくれてることは…。
「隆義さんから誘ってくれるなんて嬉しいです!どこ行きます?私おすすめのカフェがあるんですけど…」
年が明ける前にちゃんとハッキリ言おうと思って、杏香さんを誘った。
…杏香さんはずっと笑ってた。
僕はなかなか言い出せずに、気が付くとカフェに行って、映画を観て…
普通のデートのようになっていた。
放心状態で彼女についていってるだけだった。
「あのさっ…」
「なんかのど渇きません?私何か買って来ますんでここで待ってて下さいね!」
僕が何を言おうとしてるのかわかってるかのように、杏香さんは僕が口を開こうとするとはぐらかす…。
楽しそうに、ずっと笑って…。
「…!」