君の声
そんな中で頑張ってくれたサチが愛しくて強く抱きしめた。
“お酒臭い!”
と、振り払われた…。
「いいじゃーん」
“そんなことしないで手伝ってよね!”
「はーい。…おやすみっ!」
“もー!!”
「ははは、痛い痛い、やめろって!」
言葉なんかなくったってふざけ合ったりもできる。
言葉なんて、僕たちには要らない。
「よ、タカ。ゆうべはサンキュー」
「おはよう。こっちこそ、楽しかった」
「でもさ…、まぁいいや。昼休み蕎麦でも食いながらゆっくり話そうぜ」
「おぅ…」
何が言いたいのか、大体は想像がついた。
言われる前に僕から話した。
「…おまえ、大丈夫か?」
「何が?」
「得体の知れない女とよく一緒に暮らせるな。それに何も喋らないなんて、息が詰まるだろ?」
「そんなことないよ、僕たちは気持ちで通じ合えるんだ」
「はー…、信じられん」
ノブは首を傾げていた。
僕にはそっちの方が信じられなかった。
「このままでいいわけ?」
「何が?」