君の声
「何なんですか!?お嬢様はここには帰っておりません!」
「これ、あおいさんのコートですよね!?あおいさんに会わせてください、お願いします!」
「困ります…!」
「なんだ?騒がしい」
父親が出てきた。
相変わらずすごい威圧感だ…。
負けるもんか…!
「こんばんは…、草野です。あおいさんに会わせてください!」
「どうして君にうちのあおいを会わせないといけないんだ?帰りなさい」
父親は僕を玄関から押し出した。
…会いたい気持ちを抑えきれず、僕は大声で呼んだ。
「サチ!僕だよ…、サチ!」
「やめなさい!近所迷惑になるだろう!」
父親に怒鳴られても僕はサチを呼んだ。
「サチ!会いたいんだ!」
「やめろと言ってるだろう!田中、警察だ!通報してくれ!」
「はい…!…お、お嬢様!」
サチが…出てきてくれた。
「サチ!」
「私はあおいです。帰ってください!」
「…サチ?」
サチの雰囲気が何か違っていた。
「…なんで?どうしちゃったんだよ!?」
「帰ってください!あなたなんか知りません…」