君の声
「そう。よかったな」
『おい~、もっと喜べや~。16の時にフラれて傷心して以来10年、やっと、やっとできたんだぞ!』
「そうか!それはよかったなぁ!!…で、何か用?」
『何かって、まさにこれだよー、彼女ができた報告!』
「それだけかよ?そんなことで貴重な電波を使うなよ。じゃあな」
『おっ、おい…』
嬉しそうなノブの声…。
別に妬ましいわけじゃなかったけど…、この時の僕には素直に喜べる余裕はなかった…。
冷たくあしらって悪いことした…。
僕は相変わらず配達をしながらサチを探していた。
会うのはサチが迷惑かもしれない。
だから偶然見掛けられたら…
それだけでもいいと思ったから…
こうして見ているといろんな人が歩いていて、いろんな情景が目に入る。
みんなそれぞれ、何かしら抱えていて…
「きゃあっ…」
「あっ、ひったくりだー!」
その声を聞き、僕方向転換した。
犯人を追って、見事ひったくられたバッグを取り返した。
犯人は逃がしてしまったけど…。