君の声

ホクロ…



「…お子さんっていくつですか?」

「21…、もうすぐ誕生日だから22になるのね…」

「…知ってます。僕」

「えっ、本当に!?」



話を聞くと、おばちゃんは未婚で娘を産んで間もなく、いきなりお金持ちの見知らぬ夫婦が現れて、娘さんを養女に欲しいと言われ、札束をおいて、さっさと連れて行ってしまった…と。


たぶん…

この人はサチの本当の母親だ。



「そう…、あおいって名前なの…。娘の名前も知らないなんて情けないわ…。それで草野さんはどうして娘のことを?…もしかして?」

「ええ。…付き合ってました」

「まぁ…。こんな偶然ってあるのかしら?私…もう娘はみつからないって、本当は絶望していたのよ。娘に…、あおいに会わせてくれますか?」



僕だって、サチに会いたい…。



おばちゃんは遠くから見るだけでいいと言っていた。

だから住所だけ教えた。


おばちゃんと一緒に会いに行きたかったけど…。






「あおい、ガードマンを無視して帰ったらだめじゃない!」

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