君の声
「…もう大丈夫だから、ガードマンなんて要らないよ!」
「あなたは椎葉家の娘なのよ。お金目当てで何に狙われるかわからないのよ!みんなあなたのことを心配しているの。お父様の心遣いを受け止めなさい」
「…………」
がんじがらめ。
いつもこの人たちの言いなりで過ごしてきた。
心配だなんて…
私を思い通りにしたいだけ…。
…本当の娘でもないのに。
私はここ1週間くらい毎日、講義を受ける振りをして、こっそり抜け出してさくら園に行ってたのだ。
園にいた方が私は私で居られる。
そして…
もしかしたらタカが来るかもしれない…なんて期待したりして…。
タカにあんなこと言っておいて、何を期待しているのだろう…。
「お嬢様、勝手に抜け出さないでください!」
「げ…」
学校に戻ると、ガードマンが裏口に立って待っていた…。
「お、お願い!このことは誰にも言わないで…」
「…しかし」
「お願いします!」
もう、必死で泣きそうだった。
こんなことが親やお叱り組にバレたらどんな目に合うか…。