君の声

ガードマンはあまりの腹痛に動けず、追いかけてこれなかった。


ずっとついていられるなんてうんざり…。




…でも、今度こそ報告される。

また、お叱り組に何をされるか…。



このまま逃げ続けたい…。

タカのところに戻りたい…。


だけど、私がタカのところにいると、タカに迷惑をかけてしまう…。

タカを苦しませてしまう……。



だから私はタカのところを離れた。



行くアテもなく、私はトボトボ歩いていた。


…気がつくと、タカと暮らしていたアパートの前まで来ていた。


もうタカはここにはいない…。


ここでタカと2人…
幸せだった。


あの頃はこの世のすべてが怖くてたまらなかったけど、タカがいてくれたから私は救われたんだ…。



戻りたい…。


でももう戻れない………。



「うっ……っ…」





陽も沈んだ。


覚悟して…帰ることにした。




「あの、落としましたよ」

「あっ、すみません…。ありがとうございました」


学生証を落としていたようだ。


「………」

「……?」

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