君の声
「だから、このままずっと喋らない得体の知れない彼女と暮らすのか?結婚とかするのか?」
「なんでそんなに問い詰めるんだよ?サチは悪い娘じゃないし、結婚だっていつか…」
「そうか。もう何も言わない。勝手にしろ」
ノブは蕎麦も食べ終えずに会社に戻った。
それからは、あまり口をきかなくなった…。
ノブがなんで機嫌を悪くしたのか、僕にはわからなかった。
「うーん……」
夏風邪なんて…
どこでもらってしまったのか…。
僕は39度の熱にうなされていた。
サチがタオルで冷やしてくれたり、汗を拭いてくれたり、水を飲ませてくれたり…
ほとんど寝ないで看病してくれた。
ただ…、僕が寝込んで3日、食料が尽きてきていた。
僕は食欲もないし、サチが作ってくれるおかゆで十分だけど、サチはおかゆだけじゃ力が無いはず…。
買い物に行こうと思って、僕は起き上がった。
“どこに行くの?”
サチは僕の腕を掴んだ。
「買い物に行ってくる…。腹減ったろ…?」
サチは大きく首を振って、僕をベッドに戻した。
そして…泣き出してしまった。