君の声
学生証を拾ってくれたその人が、何か私をじっと見ていた。
そして、どことなく目が潤んで…
まさかこの人が怪しい中年の女性!?
「お嬢様!やっと見つけた…ハァ、ハァ…」
「あ…」
「どうしてこんなところまで…、まさかまた例の男の所に行こうとしてたんじゃないでしょうね!?」
「違います!…ただブラブラしたかっただけです!」
「早く帰りますよ!きっとお叱り部屋行きです」
「えー…」
いつの間にか中年の女性はいなくなっていた。
―おばちゃんは職場まで来た。
僕の仕事が終わるまで待っていて、2人で食事に行った。
サチに会いに行って、3丁目の辺りで泣いていたと聞いた…。
…一緒に暮らしていた所だろうか。
「…聞いていいかしら。…あなたたち、どうして別れてしまったの?」
「えっ…と…、…わかりません。前はサチの気持ちは何でもわかっていたのに、今の僕はサチがどうして急にいなくなったのか…」
「…サチ?あの子、あおいじゃなかったの?」