君の声
―節分
園長先生が僕に豆まきの鬼をやってほしいと言ってきて、僕はさくら園に向かった。
「いてててて、おまえら手加減しろよっ!いてっ」
「おにはそとっ!おにはそとっ!えいっえいっ」
子供たちの、とても手厚い歓迎をうけた。
「はー、このくそ寒いのにパワフルだなー。アザができちゃった」
「あらら。でもそれで1年の厄がとれたわよー」
「…そうかな?」
「そうそう!まぁコーヒーでも飲んで。子供たちはまだやってるみたいね。……なんだか騒がしいわねぇ」
「…ん、このコーヒーおいしいですね」
「でしょ。特注品なの。実は子供たちには内緒でね……やけに騒がしいわね、私見てくるわ」
窓の向こうにサチと一緒にいた部屋が見えた。
今はもう子供たちのガラクタ置き場になっていた。
「せつないなぁ…」
僕はひとりたそがれていた。
役も果たしたし、もう帰ろう。
「園長先生…」
帰ることを告げようと、園長やみんなの所へ行った。
本当に…
何を騒いでいるんだ?