君の声
「園長先生、……いてっ」
「きゃはははは、おにはそとー」
「まだやってんの!?いててててっ…」
「福ちゃんが豆をたくさん持ってきてくれたのよ」
「福ちゃん!?」
福の面をかぶった女の子が子供たちと一緒に豆を投げていた。
「おにはそとっおにはそとっ」
「いててっ、わかったから!…もう、まいりました!」
「イエーイ!」
…やっと終わった。
外は雪が降っているというのに、僕の体は豆がぶつかって痛くて熱かった。
それにしても、この福ちゃんって誰だ?
もう終わったのに、まだ面をつけたままだ。
…僕はじっと見てみた。
「園長先生、私帰ります」
「あら、夕飯食べて行ったらいいのに。ついでに手伝ってくれたらもっといいのに…なんて、そうもいかないわね」
「ごめんなさい…」
「あなたが謝ることないのよ。それじゃ、また間をみて来てちょうだいね」
「はい、さようなら」
福ちゃんは面をつけたままで帰ろうとしていた。
「………サチ!」