君の声
…もしかしたらと思って呼んでみた。
福ちゃんは立ち止まった。
背を向けたまま…
「コート……ありがとうな。助かった…」
…福ちゃんは帰っていった。
「何してんの、追いかけなさいよ!」
「えっ…、はい!」
園長先生が僕の背中をおしてくれた。
やっぱりサチだったんだ。
「サチ!待って…」
「違いますっ……!やっ…」
僕はサチの腕を掴んで、強引に面をとった。
サチは僕が掴んだ腕を、おもいっきり振り払った。
「サチ…、僕のこと嫌いになったのか?」
「…そうよ。大嫌い…!」
「嘘だ」
「嘘じゃないよっ!あなたなんか…」
「僕はサチが何も言わなくても、サチの気持ちがわかるんだぞ!」
「うぬぼれないでよ…!私はあおいに戻ったの!もう…早く離れて!」
僕にはわかるんだ…
「僕はどんな弊害を受けたっていい!サチを愛している!そばにいたい!」
サチはやたら周りを気にしていた。
そして僕の手をひき、木陰に隠れた。