君の声
「あ…私何やって…、ごめんなさいっ、さよなら…」
「サチ!」
もう一度、僕はサチの腕を掴んだ。
「…僕は捕まったっていいんだ」
「いや!そんなのやだ…!」
「やっぱり…。それで僕の前から姿を消したんだな?」
僕はやっと気付いた。
「だって…」
…見張り役でもいたのか、サチはキョロキョロして、怯えているようだった。
そして、気を入れ直したように厳しい表情になって、立ち上がった。
「そういうことなので。失礼します」
「サチ!」
このまま帰したら本当に終わってしまう気がして…
僕はサチを抱きつかまえた。
「はなしてっ…!」
「いやだ!」
「大声あげるよ!本当に捕まっちゃうよ!」
「いいって言ってんだろ!」
「…………っ」
だんだん、サチの力が抜けていくのがわかった。
僕らは再び木陰に身を潜めた。
…サチの左頬が赤くなっていた。
「…これ」
「…大丈夫!…私、強くなったんだから、こんなの平気なんだから…」
サチは笑ってそう言った。
だけど…