君の声
「ちゃんと認めてもらえるように頑張るよ。やっぱり僕はサチと一緒にいたいんだ。…サチは?」
サチはうなずいた。
「…タカ、ごめんね。私結局逃げてただけだった…」
「いいよ。僕もそんなサチの気持ちをわかってあげられなくてごめん。サチは僕のためを思ってそうしたんだろ。ありがとう。辛かったな…」
「うん…」
「寒くないか?」
「ううん、あったかいよ…」
サチが帰る時間がくるまで、僕らはこの2ヶ月分も、強く強く抱きしめ合った。
僕たちの体に雪が積もっていた。
「じゃまた…。電話するよ」
「うん、私も…」
「…気をつけてな」
「うん…、タカもね」
「うん……」
「………」
つないだ手をなかなか離すことができなかった。
「…早く行け。またお叱り組にやられるぞ」
「うん。…ばいばい」
雪もやみ、サチの後ろ姿が夕焼けに染まって消えていった。
本当は…今すぐ僕のところに連れて帰りたかった…。