君の声
おとしもの
―学校を抜け出して園に行ったので、私は急いで学校に戻った。
「お嬢様!また出てらしたんですか!」
またみつかってしまった…。
「ちょ…ちょっとお腹がすいたから、そ…そこのコンビニに行ってたの!」
「本当ですかぁ?」
「…本当です!…さぁ、早く帰りましょ」
もうやだ、こんなの…。
私はガードマンより先に、急ぎ足で歩いた。
「待ってくださいよー!」
―カチャッ
「ただいま、サチ」
コートに話しかけるのも習慣になっていた。
だけど今日は違う。
確かにサチのぬくもりをこの手で感じた。
「サチ、また一緒に暮らせるように頑張ろうな」
必ず認めてもらう。
そのためにも、僕は定職に就こうと、また職安通いを始めた。
「おい~、またここで会ったな!」
「ノブ!」
「配達やめたの?」
「ああ、バイトだったし。…ノブはどうしたんだよ?」
「俺だってちゃんと考えてるよ。考えて、もうここに半年通ってるよ」
「長いなぁ。考え過ぎじゃねぇの?」