君の声
「…うん、仕事がちゃんと軌道にのってからのほうが説得できるかなって…」
「だろ?…別に無理やりには行かないけどさっ」
「…頼む」
ノブを信じて頼むしかなかった。
サチのことが気になる…。
「こんにちはー。最新の化粧品が出たんですけど、娘さん…居られますでしょうか!?」
「どんなお化粧品なんですか?」
「ええ、それはもう肌に優しく、し…自然な感じに仕上がるんです。天…然素材だから、もし落とし忘れても大丈夫!」
「ふーん…、奥様ー」
「あ…、えっと…」
「奥様ー!…留守なようですね。残念ですけど」
「あ、じゃあ娘さんでもいいですよ!」
「娘さんはこの家にはいませんよ」
「うそだぁ!…あ、…いえ、なんでもないです、ハイ…」
「私じゃわからないのでお引き取り下さい」
―ガラガラガラ……トン
「はぁ…」
娘はいないなんて嘘つきやがって…、
なんか怪しいな。
それにしてもでかい家…。
「こんにちはー、宅配便です」
「はーい、印鑑ですね」