君の声

「お嬢様…、ご存じだったんですか!?」



しまった…



「…そのことについては学校が終わってから……あっお嬢様!」

「学校行くの!もうついて来ないで!」



田中さんはそこから先はついて来なかった。



ああ、言ってしまった…。

すぐに両親に伝わるだろう…。






学校が終わっても、田中さんは迎えに来なかった。


いくら待っても来ないから、私はもう、ひとりで学校を出た。


誰も何も言う人がいない、今のうちにペンダントを探そうと、あの場所へ急いだ。





「あの…」

「はい?」



道で女性に声をかけられた。



「これ、あなたのじゃないですか?」


ペンダント…!


「そうです!私の…。どこに…?」

「あそこの角のコンビニ付近で1週間くらい前に拾ったんですけど、それからあなたを見掛けなくなって、今日やっと」

「やっぱり…。ああよかった!すごく大切なものだったんです。ありがとうございました!」

「いいえ…」



…この人
どこかで見たような…



「あっ、前も何か拾ってくれた…」

「あ、ええ…」

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