君の声
まだフラフラしていた。
けど、僕はサチを連れ戻すことしか考えていなかった。
人込みの中で怯えていたあの日から、サチは外に出ることはなかった。
そんなサチが飛び出てしまうなんて、よほど傷付いたのだろう…。
今頃どこかで震えて、うずくまっているかもしれない…。
居ても立ってもいられなかった。
「サチー!サチー!」
「もうやめろよ、まだフラついてんじゃねぇか。そのうち帰ってくるって」
「サチに何言ったんだよ!?」
「だから大したことじゃ…」
「言えよ!」
「…彼氏が熱にうなされていても病院に連れて行くことも、薬を買いに行くこともできないんだな…って」
「なんでそんなこと言うんだよ!?サチはサチなりに…」
「おいっ…、俺が探すからタカは戻って休んでろ……」
ノブが言うことに聞く耳なんか持たなかった。
サチは僕がみつける…
僕じゃなきゃだめなんだ…
「サチー!」
どこへ行ってしまったのだろう…
行く所なんか…