君の声
大人たちは何も言わずに、不気味そうに私を見ていた。
「奥様、あの……」
田中さんが耳打ちで母に…この女に何か伝えていた。
「…そんなの早く追い返しなさいよ!…きゃあ!!」
「こんばんは。すみません、勝手に上がって…」
タカ…!
「不法侵入よ!田中、警察に電話…」
「やめて!!」
「あなたのせいであおいはおかしくなったのよ!あなたのせいで!」
この女が…タカを突き飛ばそうとした。
私はとっさにタカの前に立った。
タカの代わりに私が突き飛ばされ、柱で頭を強打した…
そして、意識を失った。
「きゃぁぁあ!お嬢様…」
「お、おいっ!」
「ああ…、ああ…、ああ……」
「サチー!!」
―カチッ、カチッ、カチッ…
サチが病院に運ばれて3時間が経った。
診断は軽い脳しんとうだった。
意識はまだ戻らない…。
僕が病院についていくのは反対されたけど、強引についてきた。
母親は取り乱していた…。
「…君、なぜあおいのことをサチと呼ぶんだ?」