君の声
「……全然目ぇ覚まさないのか?」
「うん。でも体はなんともないって」
「でもなんか…、草野さんがいてくれるから幸せそう」
「ありがとう…」
「私もノブさんがいてくれて幸せ!」
「何言ってんだよ。…俺もだよ!」
「きゃ~」
2人は、2人だけの世界に入って、帰っていった。
「ははは…、聞いたか?サチ」
眠っているサチの顔が、少し笑ったように見えた。
「僕もサチがいてくれて幸せだよ」
―ぐうぅぅぅ…
「…腹減ったから弁当食うわ」
―ぐうぅぅぅ…
「…………」
―ぐうぅぅぅ…
「……サチか?腹減ってんのか?」
サチの顔がピクッとした。
そして…
目を開けた。
「サチ!」
サチはうつろな表情で僕を見ていた。
「…………」
「…大丈夫?」
「………ああ、そうだ…、思い出した。私は…、私は…」
目が覚めたばかりのサチは考え込んで、混乱しそうになっていた。
「私は……わた…」
「サチ!何も考えなくていいから」