まだ、君を愛してる.doc
恋の始まりと言うのは、実に突然で、一度始まってしまうと、一気に加速していく。
柏と愛花もそうだった。ファミレスでの食事、それが始まり。それからは石が坂を転がるように、どんどん、どんどん加速していく。その勢いは、もう誰にも止められそうにない。
次の休日には、二人はデートをしていた。ただ、一つだけ問題があったのだが、それはずっと、もう恋が固まり、どんな事があっても壊せないように、そう確信出来るまでは、柏は伝えなかった。
それを知らない愛花の笑顔は、見ていると寂しさが溢れる気がしていた。
「お待たせ。」
池袋のサンシャインで待ち合わせをした。それは愛花の指定だった。どうやらテレビ番組で特集をやっていて、それで映っていたスイーツが、この上なくおいしそうだったからと言うのが理由だった。
「遅いですよ。どうしたんですか?」
「どうしたって言われても・・・。池袋ってあんまり詳しくないからさ、それにこんな場所、全然知らないから、迷子になっちゃって、ごめん。」
「柏さん、ダメだな。今はこれの時代ですよ。」
愛花はiPhoneを突き出した。
「ん?なに、これ?」
「iPhoneですよ、知らないんですか?」
「あぁ、これがニュースでやってたやつか。ふーん、で、これがどうかしたの?」
「どうかしたのじゃなくて、こうして、こうして・・・」
愛花はマップを開き、柏に見せた。
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