まだ、君を愛してる.doc
「まだ、あの携帯使ってるんだろうな。」
愛花がそう呟くと、電車の外にある景色は見慣れたものとなっていた。同時に高揚していく気持ちが、自分から独立して、一足先に駅に着いているような不思議な感覚に囚われる。そう、本当に恋い焦がれていると、人は普段のそれとは違う高みの感情を覚える。
“不倫”と言う不条理さは、恋を恋以上に仕立てるのだ。
「着いた。」
走って改札を出る。その先に見覚えのあるグレーの車。そう、柏が手を振って待っていた。
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