まだ、君を愛してる.doc
「良かった?」
有くんがえりに聞いた。
「あ、何でもないよ。こっちの話。」
「え、そんな風に言わないで教えてよ。」
「ダメ、ダメ、ダメ・・・」
一言をきっかけに、有くんとえりの関係は、より近づいていく。
「仲良くていいなぁ。」
僕の隣で、横目で僕を見ながら、愛花はつぶやいた。
「えっ?」
これは間違いないのか。それとも聞き間違えか、どちらかを見極める必要がありそうだ。
「あ、あのさ・・・」
僕が口を開いた時に、店員がやって来て言った。
「大変申し訳ございませんでした。お席の用意が出来ましたので、こちらにお越し下さい。」
なんて間の悪さだ。それ以上何も言えずに、僕たちは席を立った。
それからは何も聞けずにいる。料理も美味いはずなのだが、まるで堪能出来ない。それだけでは済まず、頭の中でさっきの事が駆け巡り過ぎ、考えと同時に血も駆け巡り過ぎ、酔い方がハンパない。当然、こうなってしまえば、ロジカルに会話を組み立てるのは不可能で、その場の流れに合わせたたわいない会話、それに終始せざる得なかった。
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