まだ、君を愛してる.doc
「なんだ、これ?」
相手は今友達になった新島さんだった。
「こんばんは。」
「あ、ここんばんは。」
慌てて打ったせいもあるが、チャット上でどもっている自分に呆れた。
「今って、何してるんですか?」
「何って、パソコン・・・」
facebookを見ているのだから、パソコンを開いているのが普通だ。淡々と入力したが、もしかしたらそう言う意味じゃないのではないか。送ってから、そんな気がし修正しようとしたが、遅かった。
「そう言う意味じゃなくて。パソコン開いているのはわかってますよ(^_^;)」
「あ、そうだよね。ごめん。今、楽天見てるよ。」
「楽天と言う事は・・・何か買うんですか?」
心の中で彼女の声をあてて読む。ただ、それだけなのに随分と心が軽くなる。ずっと一人でいて会話がなかっただけに、チャットとは言え、人と話せるのがうれしいのだ。
「あ、うん。ちょっとね。」
「何買うのか、教えて下さいよ。」
「えっ?!たいしたものじゃないから。」
「教えてくれないって事は・・・エッチなものでしょ!」
「な、なんでそうなるかな?」
「じゃ、教えて下さい~。」
「iPhoneのケース、新しいの買ったから。」
「あれ、課長ってiPhoneでした?」
「そうだよ。」
「じゃ、お揃いですね(^_^)」
「新島さんも、iPhone使ってたっけ?」
「はい。白いの使ってますよ。」
「俺も白だよ。お揃いだね。」
「そうなんですね。うれしいな。(^_^)」
はじめは“ながら”だったのが、いつの間にかチャットがメイン、楽天が“ながら”に変わっていた。
そんな自分に気づき思う。いかに自分が寂しがりなのか、誰かを求めているのか、よくわかった。
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